管理料を浮かせたつもりが、年間16万円損していた話──『決まりにくさ』というコストの正体

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こんにちは、バルです。

こんな話を聞いたことがあります。

あるオーナーさんが、管理料を抑えたくて他社に管理替えをしたそうです。月10万円の家賃で、管理料が5%から0%になったので、毎月5,000円が浮く計算でした。

ところが、その後の退去で異変が起きました。

前の管理会社の時は、退去から1ヶ月くらいで次の入居者が決まっていたのが、新しい管理会社になってからは2ヶ月、3ヶ月と空室期間が伸びていったんです。最終的に決まるまでに3ヶ月以上かかった。

家賃3ヶ月分、合計30万円の損失です。

浮かせた管理料を年間で計算すると60,000円。それに対して、たった一度の退去で発生した空室損失が300,000円。5年分の管理料が、一度の退去で吹き飛んだ計算です。

これが、今日お話ししたい「決まりにくさ」というコストの正体です。

オーナーさんが毎月見ている収支報告書には、絶対に出てこないんですよ、この損失は。でも、賃貸経営で一番大きな損失って、実はここに隠れているんです。

目次

見える損失と、見えない損失

オーナーさんが普段気にしているコストって、たいてい収支報告書に書かれているものですよね。

  • 管理料
  • 修繕費
  • 固定資産税
  • 火災保険
  • ローン返済

このあたりは、月次の収支に明確に乗ってきます。だから「管理料を5,000円安くしたい」「修繕費を抑えたい」という方向に意識が向くのは、ある意味自然なことなんです。

でも、賃貸経営で本当に大きいのは、明細書に出てこない損失なんですよ。

それが、空室期間です。

月10万円の物件で1ヶ月空室になれば、それだけで10万円の機会損失。1日あたりに換算すると約3,300円が、何もしていなくても静かに消えていきます。

3ヶ月空室なら30万円。半年空室なら60万円。

これ、毎月の管理料を何ヶ月分、何年分浮かせても取り返せない金額なんです。

管理料3% vs 0%、トータルで損するのはどっち?

具体的に数字で比較してみましょう。

家賃月10万円の物件で、年に1回退去が出るという前提で計算します。

項目A社(管理料3%)B社(管理料0%)
月の管理料3,000円0円
年間管理料36,000円0円
平均空室期間1ヶ月3ヶ月
年間空室損失100,000円300,000円
年間トータルコスト136,000円300,000円
差額▲164,000円

管理料を浮かせて年間36,000円得したつもりが、空室期間が2ヶ月伸びたせいで、トータルで164,000円多く失っている計算です。

「いやいや、平均空室期間3ヶ月って大袈裟でしょ」と思うかもしれません。

正直に言うと、これは特別ひどいケースってわけじゃないんですよ。退去から1ヶ月以内に決まれば優秀、3ヶ月を超えると長引いている、というのが業界の体感です。管理料の安さで物件を集めて、現場が回らなくなった会社では、3ヶ月超えはレアケースとは言えないくらいに起きています。

特に築年数が経った物件や、駅近とか新築みたいな強い特徴がない物件は、管理会社のリーシング力(募集力)が空室期間にダイレクトに響きます。新築で駅近の物件なら、正直どこの管理会社でも決まります。でも、強みがそこまで多くない物件のオーナーさんほど、管理会社の質が成績を左右するんです。

ちなみに、現場感で言うと管理料0%はさすがに極端な例で、3%前後がメインです。うちも基本3〜5%で、物件によって変えています。5%を超えると「ちょっと高めだな」と感じるラインです。

つまり、3%と0%の差なんて、月の管理料で言えば家賃10万円の物件でも、一室あたり月3,000円くらいなんですよ。たった3,000円を浮かせるために、空室リスクを背負う価値があるのか。冷静に計算すると、答えは見えてきます。

なぜ「管理料が安い会社」の物件は決まりにくいのか

これには構造的な理由があります。詳しくは前回の記事で5つの見えない費用について書いたので、ここでは要点だけ復習します。

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ざっくり言うと、こういうことです。

理由1:付帯サービスで初期費用が膨らんでいる

入居時消毒代、防虫抗菌費、24時間サポート費……こういう付帯サービスがてんこ盛りになっていると、入居者の初期費用が5〜6万円増えます。最終2軒で迷われた時に、初期費用の安い方が選ばれます。

理由2:広告料が仲介業者に渡っていない

オーナーが出した広告料を管理会社が自分で抱え込んでしまうと、仲介業者がその物件を積極的に紹介しなくなります。商売ですから、当然です。

理由3:現場が回っていない

管理料の安さで管理戸数を急増させた会社は、現場のキャパが追いつかなくなります。問い合わせの返信が遅い、内見の段取りが悪い、退去後のリフォーム手配が遅れる……といった形で、決められるはずの案件を取りこぼしていきます。

「うちは管理料安いですよ」というセールストークの裏側には、こういう構造があるんです。

あなたの物件、「決まらない」のか「見られていない」のか

ここで、自分の物件の状態をチェックする視点をお伝えします。

空室が長引いている時、原因は大きく2つに分かれます。

パターンA:そもそも見られていない(問い合わせ自体が少ない)

問い合わせがほとんど来ていない場合、考えられる原因は2つです。

  • 募集媒体への掲載のしかたが弱い:写真が暗い、文章が手抜き、間取り図が見にくい、掲載されているポータルサイトが少ない、など
  • 賃料帯が相場から外れている:周辺相場より高すぎる、または競合物件と比べて条件で負けている

パターンB:見られているのに決まらない(問い合わせや内見はあるけど成約しない)

問い合わせや内見はあるのに最終的に決まらない場合、考えられる原因はこっちです。

  • 物件のコンディション:内見した時の印象が悪い(後述の畳エピソード参照)
  • リフォームが弱い:他の競合物件と比べて室内の魅力で負けている
  • 接客対応の問題:仲介業者や管理会社の案内が悪い

ここが大事なところなんですが、空室が長引いているのに、管理会社がこの原因の切り分けすらできていないとしたら、それはもう管理の質が落ちている証拠です。

オーナーさんに「最近決まらないので家賃下げませんか?」とだけ言ってくる管理会社、要注意です。本来なら「問い合わせ件数はこれくらい来ています、ただ内見からの転換率がこうなっていて、原因はおそらくこれです」というデータと分析を出すべきなんです。

それができない管理会社に「決めてもらう」のは、なかなか難しい話です。

家賃を下げる前に確認すべきこと

空室が長引くと、つい「家賃を下げよう」という発想になりがちです。

でも、家賃を下げるのは最終手段だと思ってください。理由は明確で、一度下げた家賃は、なかなか上げられないからです。

その後の入居者にもずっと影響します。さらに、家賃を下げると物件の利回りが下がるので、将来売却する時の評価額にも響きます。月5,000円の家賃ダウンは、利回り換算で物件価値を100万円以上下げているのと同じです。

だから、家賃を下げる前に、もっと先に確認すべきことがあります。

チェック1:募集資料に余計な付帯サービスが乗っていないか

募集図面を取り寄せて見てください。入居時消毒代や防虫抗菌費が乗っていれば、それだけで初期費用が膨らんで決まりにくくなっている可能性があります。

チェック2:広告料がちゃんと現場まで届いているか

オーナーが出している広告料が、本当に仲介業者まで渡っているか。これは管理会社に直接聞いても「ちゃんと渡しています」としか答えませんが、別のチャネル(他の仲介業者など)から物件情報を確認すると、広告料の設定が見えることがあります。

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チェック3:物件のコンディション

意外と見落とされがちなのが、物件そのもののコンディションです。

ちょっと前にこんなことがありました。

僕が仲介の現場で内見をした物件で、畳が張られておらず、床がむき出しの状態だったんです。事情を聞くと、「畳は日焼けしてしまうから、入居が決まってから新しく入れる方針」とのこと。

オーナーさんの判断なのか管理会社の判断なのかはわかりませんが、結果として何が起きたかというと、お客さんの反応がものすごく悪かったんですよ。

考えてみれば当たり前で、床がむき出しの部屋を見せられて、住んでいるイメージなんて湧かないですよね。日焼けを気にして畳を入れていないつもりが、内見の印象を最悪にして、決まる可能性そのものを潰している。

こういう「コスト削減のつもりが、機会損失を生んでいる」みたいなことが、現場ではちょくちょく起きています。畳を1セット入れるコストより、空室1ヶ月の損失の方が遥かに大きいんですよ。

家賃を下げる前に、自分の物件が入居希望者に住むイメージを持ってもらえる状態になっているか、一度確認してみてください。

機会損失を計算してみる

ここまで読んでくださったオーナーさん、最後に一つ宿題があります。

ご自身の物件の機会損失を、ざっくり計算してみてください。

計算式はシンプルです。

過去2年間の総空室月数 × 月家賃 = 機会損失額

たとえば、

  • 月家賃10万円
  • 過去2年で退去2回
  • それぞれ2ヶ月、3ヶ月ずつ空室
  • 合計5ヶ月の空室

この場合、機会損失は50万円です。

これが多いのか少ないのかは、地域や物件のタイプによって違います。ただ、「健全な空室期間=退去から1ヶ月以内に成約」を基準に考えると、上の例なら本来は2ヶ月分の空室損失(20万円)で済んでいたはず。差額の30万円が、「決まりにくさ」というコストです。

この金額を見て「思ったより大きいな」と感じたら、それは今の管理会社の体制や、物件の募集条件を見直すサインかもしれません。

まとめ:見えない損失に気づけるオーナーが、長く稼げる

賃貸経営で一番怖いのは、目に見える費用じゃないんです。

明細書に書かれていないコスト──空室期間という機会損失こそが、長期的に見ると一番大きな損失になります。

管理料を月5,000円ケチる発想は、いったん横に置いて、

  • 自分の物件は退去から何ヶ月で決まっているか
  • 問い合わせや内見の件数はどれくらいあるか
  • 募集資料に余計なものが乗っていないか
  • 物件自体が「住みたい」と思える状態か

このあたりを冷静に見直してみてください。

毎月の収支報告書に出てこない損失を可視化できるかどうか。これが、長く安定して賃貸経営を続けられるオーナーと、じわじわ収益が削られていくオーナーの分かれ目だと、僕は現場で見ていて思います。

それから、もし「自分の管理会社、この観点でちゃんと仕事してくれているのかな?」と気になった方は、別途まとめた採点シート付きのガイドがあります。10個の質問に答えていくと、今の管理会社の点数が出るようになっています。

管理会社を見極める10の質問|現役社員が本音で解説する「点数化」採点シート付き完全ガイド

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この記事を書いた人

不動産業界歴約15年。仲介8年→現在は賃貸管理・リーシングがメイン。古い物件をリフォームで蘇らせて賃料アップを狙うのが一番の生きがい。
管理の現場で「オーナーさん、それ知らないと損してますよ…」な場面に遭遇しすぎて、このブログを始めました。
保有資格
宅建士/二級建築士/賃貸不動産経営管理士/賃貸住宅メンテナンス主任者/消防設備点検資格者/管理業務主任者

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