「業者さんへの広告料、いくら出してますか?」──”出さない管理会社”の裏側を、正直に話します

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こんにちは、バルです。

良い管理会社を見極める10の質問」の第2問は、これでした。

「業者さんへの広告料、いくら出していますか?」

……正直、この質問をされて即答できるオーナーさん、そんなに多くないと思うんですよ。「え、広告料?なんかそういうのあるって聞いたことはあるけど……」くらいの方が大半じゃないでしょうか。

長く不動産経営をされているベテランオーナーさんでも、です。むしろ「昔から付き合いのある管理会社に全部任せてるから」というオーナーさんほど、今の業界の仕組みをちゃんと知らないまま、数十年経っているケースもあります。

でもね、これを知らないと、結構な金額を損してることがあるんですよ。

今回は、僕が実際に見てきた「広告料ゼロで半年空室だった物件」の話を入り口にして、関西の賃貸業界のちょっと表に出てこない部分を、正直に書いてみます。

目次

半年間、誰も決まらなかった物件の話

少し前、あるオーナーさんから相談を受けました。

(ちなみに業界の言葉で恐縮なんですが、空室にお客さんがついて契約が成立することを、僕らは「決まる」って言います。「決まりの悪い物件=お客さんがつきにくい物件」みたいな使い方をするので、この記事でもそのまま使わせてくださいね)

物件は大阪市内の駅近マンション。築年数は15年を少し超えたあたり。間取りは1Kと1DKが中心で、当時の家賃は8万円台後半から9万円台。エリア相場よりちょっと上の、企業の役員さんや管理職クラスをターゲットにした、ハイグレード寄りのマンションです。

このマンションのオーナーさんは、もともとうちの社長と知り合いだった方で、ある日「ちょっと相談したいことがあるんやけど」と声をかけてくださったのがきっかけでした。

「最近、空室がなかなか埋まらなくて……」

聞けば、常に4〜5室の空室が出ている状態。総戸数からすると、なかなかの空室率です。管理を任せているのは業界でも名の通った大手管理会社で、自社で仲介店舗もたくさん持っているところだったので、オーナーさんとしては「自社で決めてくれてるはず」という安心感があって、これまで特に不満もなかったそうなんです。ただ、ここに来て明らかに様子がおかしい、と。

僕はまず、その空室の募集状況を確認させてもらいました。

そして、募集図面を見た瞬間に「あ、これはアカンやつや」と思ったんですよ。

広告料、ゼロ円。

しかも、解約予告が出てから実際に退去するまでの「退去予定」段階の部屋は、全部ゼロ。広告料が1ヶ月出るようになるのは、退去が完了してからでした。

これ、何を意味しているかと言うと——「退去予定の段階では、自分たちの客付け部門だけで決めたい。他の業者には情報を流したくない」という意思表示なんです。仲介の手数料も、広告料も、ぜんぶ自社で取りたい。いわゆる両手取り狙いですね。

さらに驚いたのが、希少性の高い50平米超の1DKタイプ。このマンションの中でも数室しかない、ちょっとレアな間取りなんですが、ここについては退去が完了して空室になった後も、広告料はゼロのままでした。「希少性が高いから、うちで決められる自信がある」ってことなんでしょうね。

……いや、半年決まってないんですけど。

そもそも「広告料」ってなんやねん、という話

ここで一度、業界の仕組みをちゃんと説明させてください。管理会社の人間からすると当たり前すぎて、つい説明を飛ばしてしまうんですが、オーナーさんにとっては全然当たり前じゃない話なので。

関西の賃貸業界って、こういう仕組みになってます。

物件を募集するとき、お部屋を借りたい人を連れてくる「入居者側の仲介業者」と、オーナーさんから物件を預かっている「家主側の仲介業者(=多くの場合、管理会社)」が、別々に存在しています。家主側の業者がレインズ(業者間サイト)などで「こういう物件、空いてますよ」と情報を出して、入居者側の業者が「うちのお客さんにピッタリかも」と紹介する、という形で成約に至るわけです。

そして契約が決まると、オーナーさんから家主側の管理会社に「広告料(AD)」という名前の成約報酬が支払われます。関西では「広告料」と呼ばれていますが、実態はお客さんを連れてきてくれた仲介業者への報酬です。家主側の管理会社は、この広告料の中から、入居者側の仲介業者に報酬を渡します。

で、ここが大事なところなんですけど。

仲介業者って、別にボランティアじゃないんですよ。同じ1件成約するために動くなら、当然、報酬がちゃんと出る物件を優先します。これは仲介の現場で8年やってきた僕が、誰よりもよく知ってます。

僕が仲介をやっていた頃、お客さんに紹介する物件をピックアップするとき、無意識に「広告料が出てる物件」から並べていました。別に悪意があるわけじゃなくて、「ちゃんと働いた分、ちゃんと報酬が出る物件」を優先するのは、商売として当然の判断なんです。

逆に言うと、広告料ゼロの物件は、仲介業者から見ると「最後に回す物件」になりがちなわけです。同じ条件のお部屋が並んでいたら、AD1ヶ月の物件を先に紹介する。これ、仲介業者の本音です。

——と、ここまで言い切ってしまうとちょっとフェアじゃないので、補足させてください。

仲介業者にもいろんなスタンスがあって、広告料の金額にあまり左右されず、お客さんの希望に一番合う物件を素直に紹介する業者さんもちゃんと存在します。たとえば、法人の借り上げ社宅の仲介をメインにしている会社は、1件1件の広告料を追いかけるよりも、その法人さんから継続して依頼をもらい続けることの方が大事なので、目先のADよりも顧客満足度を優先します。実は僕の今いる会社の客付け部門も、まさにこのスタイルなんですよ。

個人のお客さんをターゲットにした街の仲介業者でも、「ADがいくらでも、お客さんに一番合う物件を紹介する」というスタンスを貫いている会社さんはあります。某大手チェーンの直営店なんかは、そういう傾向が強かったりします。

ただ、業界全体で見ると「広告料が出てる物件を優先する」という力学が働いているのは事実なんです。だからオーナーさん側としては、「広告料を出しても出さなくても紹介してくれる業者さんがいる」と期待するより、「広告料を出しておいた方が、より多くの仲介業者に動いてもらえる」と考えておく方が、現実的で安全だと思います。

大阪のAD相場、ぶっちゃけいくら?

じゃあ、いくら出せばいいのか。

大阪エリアの相場感で言うと、家賃の1.5ヶ月〜2ヶ月が一般的なラインです。

ただ、家賃のヶ月数だけで考えるんじゃなくて、金額として10万円というのが仲介業者の目安になっています。たとえば家賃5万円のお部屋なら2ヶ月分で10万円。家賃8万円なら1.5ヶ月で12万円。1件の単価としてこのくらい出していれば、仲介業者にとって「ちゃんと走って紹介したい物件」のラインに乗ってくるんです。

繁忙期(1〜3月)はお客さんが勝手に動いてくれるので、ADは標準的な設定でも決まっていきます。問題は閑散期(6〜8月)。ここは決まりにくいので、「普段1.5ヶ月のところを、夏だけ2ヶ月に上げます」みたいな期間限定キャンペーンを打つこともあります。「広告料アップキャンペーン中!」と業者間サイトに出すと、仲介業者の食いつきが目に見えて変わりますからね。

——という相場感を踏まえて、さっきの半年空室マンションの話に戻ると。

広告料ゼロですよ。

これ、仲介業者からしたら「うちが頑張って案内しても、1円ももらえない物件」なんです。そんな物件、誰が積極的に紹介します?しかも家賃8〜9万円のハイグレード帯。お客さんもそう簡単には決まらない価格帯です。手間をかけて案内して、内見して、書類作って、それでゼロ。

そりゃ成約しないですよ、という話なんです。

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「自社で決めたい」の裏側

ここまで読んで、「じゃあなんで管理会社は広告料ゼロで募集してたの?」と思いますよね。

理由は単純で、自社で決めれば広告料を払わなくていいからです。

家主側の管理会社が、自社の客付け部門で入居者を見つけてくれば、外部の仲介業者に支払う広告料はゼロ。オーナーさんから預かった広告料は、まるごと自社の売上になります。これがいわゆる「両手取り」です。

新築で人気のある物件、立地が抜群にいい物件なら、この戦略でも入居者がつくかもしれません。お客さんが向こうから来てくれますからね。でも、築年数が経って、目立たせないと埋もれてしまう物件で同じことをやると、どうなるか。

——半年、決まらないんです。

これは別に、相談に来られたオーナーさんの物件だけの話じゃありません。大手の管理会社でも普通に行われていることで、僕が物件探しをしていて、「あ、これクローズにしてるな」と気づくことは、しょっちゅうあります。

見分け方は意外と簡単で、業者間サイトの広告料欄に数字が入っていない、もしくはそもそもレインズや業者間サイトに出ていない(自社のホームページにだけ載せている)。これは「外部の仲介業者には情報を流したくありません」というサインです。

ハウスメーカー系のブランドマンションなんかは、もともと代理店としてレインズへの掲載義務がないので、自社で全部囲い込むケースが今でも残っています。ブランド力で決められる自信があって、戸数も少ないから、それで成立しちゃうんですね。

ただ、大阪みたいに供給過多のエリアで、新築マンションの戸数も多い物件で同じことをやると、他の仲介業者からハブられて、どんどん決まらなくなる。実際、僕が担当している物件のすぐ近くに、今年の春に建った新築マンションがあるんですが、そこはずっとクローズ募集をしていたせいで、繁忙期が終わった今でもほとんど決まっていません。空室がかなり残ったままです。

クローズ募集の弊害って、こういう形で出るんですよ。

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「仲介手数料ゼロ」が、ちゃんと働く業者を追い詰めている

ここからは、ちょっと熱くなる話をさせてください。

最近、「仲介手数料ゼロ円」を売りにする仲介業者が増えてます。お客さん側からすると、初期費用が安くなるのでありがたい話ではあるんですが、僕は管理会社の立場として、この流れにかなり違和感を持ってます。

問題は2つあって。

ひとつは、お客さんの取り合いがエグいことになること。

たとえば、お客さんがAという仲介業者に行って、物件を紹介してもらって、内見もして、「ここにします」と申し込みまで入れた。ところが、後から別のBという業者が「うちなら仲介手数料ゼロにしますよ」と声をかけて、同じお客さんを2番手で申し込みに入れてくる。そして、契約をまるごとBに持っていかれる——みたいなことが、結構起きています。

Aの業者からしたら、たまったもんじゃないですよね。物件探しから案内から、ちゃんと労力をかけてやったのに、最後の一瞬で報酬をかっさらわれる。これ、お客さんのモラルの問題でもあるんですが、お金が絡む話なので、なかなか難しいところです。受け入れる側の管理会社からしても、正直「お行儀のよくない入居者さんやな」と感じてしまいます。

もうひとつは、これがお客さんにとってもデメリットになる話です。

仲介手数料ゼロを謳ってる業者さんって、当然お客さんからお金を取れないので、オーナーさんからもらう広告料だけで売上を立てる必要があるわけです。

そうなると、どうなるか。広告料の高い物件しか紹介しなくなるんです。

同じ労力をかけて1人のお客さんに対応するなら、当然、自分たちの売上が立つ物件を優先しますよね。極端な話、広告料ゼロの物件を仲介手数料ゼロで決めてしまったら、その業者の売上はゼロです。そんな商売、続けられるわけがない。

実は、本当にいい物件って、広告料が低めに設定されていることが多いんですよ。たとえば分譲マンションの一室を、転勤で住めなくなったオーナーさんが賃貸に出すケース。希少性の高いファミリータイプのマンションだったりすると、そもそも広告料を出さなくても決まる物件なので、ゼロや0.5ヶ月で募集されていることも珍しくありません。新築のハイグレード物件も、ブランド力で勝負できる分、広告料は控えめに設定されがちです。

仲介手数料ゼロの業者さんからは、こういう物件は逆に紹介してもらえなくなるんです。お客さんは「お得な業者さんで探してる」つもりが、実は選択肢がごっそり狭められている。これ、知らないオーナーさん・入居者さん、めちゃくちゃ多いと思います。

ちゃんと働いた人に、ちゃんと払う

うちの会社は、成約手数料として原則、家賃の0.5ヶ月分を、ちゃんとオーナーさんからいただく方針でやっています。

これ、はっきり言って、断られることもあります。「他の管理会社は取らないって言ってるよ」と。

でもね、僕らだって人を雇って、時間を使って、モデルルームを作ったり、オリジナルの募集資料を作ったり、それなりに手間とコストをかけて募集活動をしてるんです。それに対して報酬がゼロだと、見た目の数字には出てこなくても、スタッフの時給を考えたら確実に赤字なんですよ。

長い目で見てくれるオーナーさんは、ここをちゃんとわかってくれます。「ちゃんと働いてくれてるなら、ちゃんと払うのが当然でしょ」と言ってくださる方とは、長くお付き合いできています。

逆に、目先の手数料の安さだけで管理会社を選ぶと、結局は「安かろう悪かろう」の管理に行き着くことが多い。広告料を出さない、客付けに力を入れない、空室が長引く、家賃収入が落ちる——管理料を月数万円ケチった結果、年間で数十万円の家賃を取り逃すことになりかねません。

オーナーさんが、明日からできること

ここまでの話を踏まえて、オーナーさんが自分の物件の状況をチェックする方法を、最後にお伝えしておきます。

まずは、管理会社さんに募集図面を見せてもらってください。そして、広告料(AD)の欄を確認してください。業者間サイトに出している募集図面には、必ず広告料の金額が記載されているはずです。「○ヶ月」とか「○○円」と書いてある欄ですね。

ここがゼロになっていたり、空欄になっていたりしたら要注意です。特に、繁忙期を過ぎた閑散期に空室が長引いている物件で広告料ゼロだったら、もう確実に決まりません。

もうひとつは、ストレートに聞くことです。

「うちの物件、広告料はいくらで募集してくれてますか?」

この質問に、即答できる管理会社はちゃんと考えて募集してます。逆に、口ごもったり、「ええと、後で確認します……」と言われたら、たぶんあまり真剣に考えていません。

そして、もし「ゼロです」と返ってきたら、その理由を聞いてみてください。「自社で決められる自信があるので」と言われたら、「じゃあ、いつから募集してますか?」「あと何ヶ月決まらなかったら、広告料を出す予定ですか?」と重ねて聞いてみる。ここで明確な答えが返ってこなければ、その管理会社は自社の都合だけで募集戦略を組んでいる可能性が高いです。

「広告料を出す」は、ケチっちゃいけないところ

リフォームに何十万円もかける前に、まずは広告料を1ヶ月から2ヶ月に上げてみる。これだけで決まることが、本当に結構あります。

オーナーさんの中には「広告料を払うのはもったいない」と感じる方も多いんですが、空室が1ヶ月長引くだけで、家賃8万円の部屋なら8万円の家賃収入が消えるんです。広告料1ヶ月を惜しんで空室が3ヶ月延びたら、24万円の取り逃し。明らかに広告料を出した方が得です。

「業者さんへの広告料、いくら出していますか?」

この質問への管理会社の答え方に、その会社が業界の仕組みをオーナーさんと共有しようとしているか、それとも情報の非対称性を利用しようとしているかが、はっきり出ます。

「うちは0.5ヶ月から1.5ヶ月の間で、物件の状況に応じて調整してます」みたいに、具体的な数字と判断基準を語れる管理会社は、少なくともちゃんと考えて募集をしています。逆に「えーっと……基本的には自社で決めてますので……」みたいに濁す管理会社は、ちょっと一度、立ち止まって関係を考え直してみてもいいかもしれません。

たった1問の質問ですが、その答えで見えるものは思った以上に多いんですよ。

この記事は「良い管理会社を見極める10の質問」の第2問を掘り下げたものです。他の質問もぜひチェックしてみてくださいね。

それでは、また次の記事で。 バル


オーナーさんに一つ質問です。今の管理会社、感覚で「まあいいかな」と思っていませんか?

僕がnoteで書いた有料記事では、管理会社を10項目・40点満点で採点できる設計にしています。採点スプレッドシートも特典でつけているので、読み終わった後すぐ手を動かせます。

「感覚じゃなくて数字で判断したい」オーナーさんに、特に読んでほしい内容です。

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この記事を書いた人

不動産業界歴約15年。仲介8年→現在は賃貸管理・リーシングがメイン。古い物件をリフォームで蘇らせて賃料アップを狙うのが一番の生きがい。
管理の現場で「オーナーさん、それ知らないと損してますよ…」な場面に遭遇しすぎて、このブログを始めました。
保有資格
宅建士/二級建築士/賃貸不動産経営管理士/賃貸住宅メンテナンス主任者/消防設備点検資格者/管理業務主任者

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