こんにちは、バルです。
オーナーさんから「退去立会いって、結局何やってるの?」って聞かれることがあります。鍵をもらって部屋を見て、傷とか汚れをチェックする、というイメージが一般的だと思うんですよね。
正直、僕も入社したてのころは「見るだけでしょ」って思ってたんですよ。先輩について現場に行って、ぼーっと部屋を眺めてるだけで、給料もらえるならラクな仕事だなって。
でも、自分で立会いを担当するようになって分かったんです。あの1時間の中で、実は3つの仕事が同時に走ってるんですよ。
その3つというのが、
- 物件チェック(部屋の状態を記録する)
- 査定判断(負担区分と費用感をその場で判断する)
- 入居者対応(信頼関係を作りながら話を進める)
この3つを同時にこなせるかどうかで、管理会社の力量が出るんです。今日はそれぞれの中身と、「ちゃんとやってる管理会社」と「流してる管理会社」でどこに差が出るのかを、現場目線で書いていきますね。
ちなみに、退去から次の入居までの全体的な流れについては、退去〜次の入居まで管理会社が裏でやってる9のことにまとめてるので、そちらと合わせて読んでもらうと全体像が掴みやすいと思います。

レイヤー1:物件チェック
ひとつ目は、部屋の状態を記録する仕事です。
立会いで現場に入ったら、まず部屋全体をぐるっと見て、写真で記録していきます。壁、床、建具、水回り、設備、それぞれを順番に。これが基本です。
ここで大事なのが、写真の撮り方なんですよ。
写真って、撮ってる本人は「ちゃんと撮った」つもりでも、後で見返すと「これ、どの部屋のどこ?」ってなることがけっこうあるんです。退去から敷金精算までは2〜3週間、長いと1か月以上かかることもあるので、その時に「あの汚れ、どのくらいの大きさだったっけ?」と思い出せないと、査定の根拠が弱くなる。
写真の撮り方で差が出る瞬間というのが、まさにここなんですよね。雑な担当者は、部屋の全景をパパッと撮って終わり。丁寧な担当者は、全景に加えて損傷箇所のアップ、さらにメジャーを当てたり、マステを貼ったりして、寸法が分かる写真も撮ります。これ、後で「この傷、何センチですか?」って聞かれたときに、写真一枚で答えられるかどうかが変わってくるんですよ。
それと、入居期間との照らし合わせも、この時点で頭の中でやってます。半年で退去した部屋と、10年住んだ部屋では、同じ汚れでも判断基準が違うんです。10年経過なら壁紙の日焼けは通常損耗、半年なら「ちょっと早すぎませんか?」という話にもなり得る。この感覚は、現場経験を積まないと身につかない部分ですね。
バルのつぶやき:写真を撮るのは新人でもできるんですけど、「後で査定の根拠になる写真」を撮れるかどうかは、経験者と未経験者で本当に違うんですよ。
レイヤー2:査定判断
ふたつ目は、その場で査定の判断をする仕事です。
部屋を見ながら、「これは通常損耗だから貸主負担」「これは入居者の使い方による損傷だから借主負担」と、リアルタイムで振り分けていきます。基準になるのは、国交省の原状回復ガイドラインです。これを頭に入れた上で、目の前の損傷がどっちに分類されるかを判断する。
で、入居者さんから「これって、いくらくらいかかるんですか?」って聞かれることが、立会いの場でめちゃくちゃ多いんですよ。
ここで担当者の力量がはっきり出ます。
リフォームの相場感覚がない担当者は、「業者に見積もり取ってからご連絡します」としか言えない。リフォーム知識のある担当者は、「壁紙張替で○○円くらいですね」「この床の傷だと、補修で△△円〜、張替まで行くと□□円くらいです」と、その場でざっくりした金額感を伝えられる。
「分かりません、後で連絡します」って言うのは、正直一番ラクなんですよ。何も判断しなくていいので。でも、入居者さんからしたら一番不安になる返事なんですよね。「いくら請求されるか分からない」状態で立会いが終わると、その不安が後の敷金精算でトラブルにつながりやすい。
逆に、その場で概算を伝えられると、入居者さんは「だいたいこのくらいで収まりそう」と心の準備ができる。後日正式な金額が来たときに、ギャップが小さければ、そのまま納得してもらえる。これだけで、敷金精算のトラブル発生率がかなり変わります。
バルのつぶやき:査定って、書類仕事のイメージがあるかもしれないですけど、立会いの現場で半分くらい決まってるんですよ。
レイヤー3:入居者対応
みっつ目は、入居者さんとのコミュニケーションです。
最近、立会いの空気がちょっと変わってきたなと感じることがあって。何かというと、入居者さんが事前にネットで予習してきてるんですよ。「退去費用 ぼったくられない方法」とか「敷金 返ってこない 対処法」みたいな記事を読んで、武装してから現場に来る。
これ自体は別に悪いことじゃないんです。情報を持って臨むのは入居者さんの権利なので。ただ、最初からピリピリした空気で立会いが始まるケースは、明らかに増えました。
そういうときに、いきなり「ここの傷は借主負担です」「ここも負担です」って詰めていくと、入居者さんは身構える一方になっちゃうんですよ。
僕は、まず信頼関係を作ってから本題に入るようにしてます。
具体的にやってるのが、その場で拭ける汚れは「これくらいなら全然大丈夫ですよ、今拭いちゃいましょう」って言って、自分で拭いてしまうこと。台所のちょっとした油汚れとか、壁の軽い手垢とか、その場で対応できる範囲のものですね。これだけで、入居者さんの「この担当者、ぼったくる気はなさそうだな」という印象が一気に変わります。
スタンスとしては、「貸主の代理人」じゃなくて「中立の専門家」でいるよう心がけてます。借主負担になる部分はちゃんと伝える、でも通常損耗の部分は「これは貸主負担なので大丈夫ですよ」とはっきり言う。両方を公平に伝える人だ、という認識を持ってもらうと、その後の敷金精算もスムーズに進むんですよ。
立会いって、入居者さんにとっては「最後の管理会社の印象」なんですよね。ここでこじれると、退去後にGoogleレビューやSNSでネガティブな評判を書かれることもあります。逆に、丁寧な対応をすれば「この管理会社、ちゃんとしてたよ」と知り合いに紹介してくれることもある。地味に、長期的な集客にも効いてくる場面なんです。
バルのつぶやき:立会いって、入居者さんにとっては最後の接点なんですよ。ここでの印象が、その後の口コミに直結します。
なぜ3つを同時にこなせる担当者が貴重なのか
ここまで読んでもらって、お気づきかもしれないんですけど、この3つの仕事って、それぞれ別の専門性が要るんですよ。
物件チェックだけなら、リフォーム業者さんでもできます。むしろ業者さんの方が、損傷の見立ては正確かもしれません。
査定判断だけなら、書類仕事をする事務スタッフでもできます。ガイドラインを照らし合わせて、機械的に振り分けることはできる。
入居者対応だけなら、接客業の経験がある人でもできます。コミュニケーション能力さえあれば、信頼関係は作れる。
でも、この3つを同じ1時間の中で、同時にこなせる人って、実はそんなに多くないんですよ。
部屋を見ながら査定の頭を回し、同時に入居者さんの様子を観察して空気を読み、必要に応じてフォローする。この同時並行を1時間ぶっ通しでやれる担当者は、ちゃんと訓練を積んだ管理会社の人材なんです。
逆に言うと、立会いの担当者がこの3つをこなせていれば、そのあとの敷金精算・リフォーム発注・次の入居までの流れがスムーズになる。立会いの質は、退去から次の入居までの全工程の品質を左右するんですよ。
締め:立会い1回で、管理会社の品質は見える
オーナーさんとして、もし立会いに同席する機会があれば、ぜひ担当者の動きを観察してみてほしいんです。
- 写真をどれくらい丁寧に撮ってるか
- 入居者さんから費用感を聞かれたときに、その場で答えられるか
- 入居者さんとの空気をどう作ってるか
この3つを見れば、その管理会社が立会いをどれくらい本気でやってるかは、だいたい分かります。
立会い1回で、管理会社の品質は見える。これは大げさじゃなくて、本当にそうなんですよ。
管理会社選びの判断軸については、良い管理会社を見極める10の質問でもまとめてるので、こちらも合わせてどうぞ。

それでは、また。
バルでした。