こんにちは、バルです。
オーナーさんから一番よく聞かれる質問のひとつが、これなんですよ。
「退去の連絡があってから、次の入居者が決まるまでの間、管理会社って何やってるの?」
正直、よく聞かれるってことは、それだけ「見えてない」ってことなんですよね。月次の報告書には「退去あり」「リフォーム発注済み」「募集中」くらいしか書かれてないので、まあそうなりますよね。
でも実際は、退去から次の入居までの間に、管理会社の中では9段階くらいの工程が動いてるんです。今日はその全体像を、流れに沿ってざっと見せていきますね。
各工程の細かい話は、それぞれ別の記事で深掘りしていく予定なので、今回は「全体像をつかんでもらう」のがゴールです。
ステップ1:解約通知の受付
入居者から「退去します」という連絡が入るところから、すべてが始まります。
このとき、管理会社の中で何が起きてるかというと、実はもう次のことを考え始めてるんです。
具体的には、入居期間がどれくらいかを確認します。半年で出る人と、10年住んでた人だと、退去後に必要なリフォームの規模が全然違うんですよ。半年なら清掃メインで済むこともあるし、10年住んでたら設備交換まで視野に入る。
で、ここでちょっと頭が痛くなるのが、退去が複数重なるタイミングなんです。複数の部屋で同時に大きなリフォームが発生すると、オーナーさんの方で「ちょっと今月は出費キツいな…」となるケースがあって。そういう時は、優先順位を頭の中で組み立て始めてます。「この部屋は今すぐ募集に出したいから先に手を付けよう」「こっちは少し時期をずらせるな」みたいな感じですね。
解約通知って、ただ受け取って記録するだけの作業じゃないんですよ。受け取った瞬間から、管理会社の頭の中ではもう次の3か月の動きが始まってます。
ステップ2:退去立会い
退去日当日、現地で入居者さんと一緒に部屋の状態を確認する作業です。
ここで僕らがやってるのは、ざっくり言うとこんな感じです。
- 部屋の状態を写真で記録する(これは絶対に欠かせない)
- 通常損耗と入居者負担になる損傷を見極める
- 必要に応じて、その場で「これはこのくらいの費用感ですよ」と概算を伝える
最後の概算を伝えられるかどうかは、管理会社の担当者にリフォーム知識があるかどうかで結構変わるんですよね。知識があれば、「この壁紙の汚れなら、張り替えで○○円くらいですね」って即答できる。知識がないと「業者に見積もり取ってからご連絡します」になる。どっちが入居者さんに安心感を与えるかは、まあ言うまでもないですよね。
それと、最近すごく感じるのが、入居者さんが事前にネットで「退去費用をぼったくられないためのノウハウ」みたいなのを読んできてるケースが増えてること。これ自体は別に悪いことじゃないんですけど、最初からちょっとピリピリした空気で立会いが始まることもあって。
なので、僕は丁寧な対応を心がけてます。たとえばその場で壁の汚れを見つけたら、「これくらいの汚れなら、今ササッと拭いちゃえば大丈夫ですよ」って言って、自分で拭いちゃう。入居者さんサイドに立った対応をすることで、信頼関係を作ってから本題(負担の話)に入る、みたいな工夫はしてますね。
立会いは「鍵を受け取って部屋を見るだけ」って思われがちなんですけど、実は管理会社の力量が一番出る場面のひとつなんですよ。この話はいずれ、別の記事で詳しく書こうと思ってます。
ステップ3:原状回復査定・敷金精算
立会いの結果と、リフォーム業者から上がってきた見積もりをもとに、入居者の負担分を精査する工程です。
ここは、正直けっこう神経を使う作業でして。
国交省のガイドラインに沿って、「これは通常損耗だから貸主負担」「これは入居者の使い方による損傷だから借主負担」と振り分けていくんですけど、業者の見積もりが「一式 ○○円」みたいなざっくりした書き方になってると、内訳を出すのが大変なんですよ。
特に困るのが、オーナー指定の業者を使ってるケース。長年の付き合いがある業者さんって、見積書がシンプルすぎることが多くて。「壁紙張替工事 一式 80,000円」みたいに来ちゃうと、「このうち借主負担はいくらですか?」って改めて聞き直さないといけない。
このやり取りで時間が取られると、敷金精算の通知が遅れて、入居者さんから「まだですか?」って催促が来る。という連鎖が起きやすい工程でもあります。
「一式」見積もりとの戦いは、管理会社あるあるですね。これも一本記事が書けそうな気がしてきました。
ステップ4:リフォーム発注
査定と並行して、実際のリフォーム工事を業者さんに発注していきます。
発注内容を固めて、見積もりを取って、工期を調整して、進捗を見守る。書くと簡単なんですけど、業者さんによって仕上がりに結構な差が出るので、ここの工程管理は地味に重要です。
同じ「リフォーム済み」でも、ぱっと見はきれいでも床にワックスムラが残ってたり、提案がイマイチだったり、業者さんによって本当に違うんですよ。
この「業者によって全然違う」話は、別記事で詳しく書く予定です。現場で実際に見た失敗例も含めて。
ステップ5:募集開始(広告出稿・反響対応)
リフォーム内容が固まったら、いよいよ募集です。
ここで管理会社がやってるのは、
- 賃料査定(周辺相場を見て、適正な家賃を決める)
- 募集条件の決定(敷金・礼金・入居条件など)
- 広告出稿(レインズ、ポータルサイト、自社サイトなど)
- 仲介業者からの問い合わせ対応
賃料査定が地味に重要で、ここで強気すぎると空室期間が伸びるし、弱気すぎるとオーナーさんの収益が下がる。相場をちゃんと見て、決め切る判断が要ります。
ちなみに、募集のタイミングですけど、リフォームの内容が固まってから出すのが基本ではあるものの、解約通知が入った時点で先行して募集を始めるケースも多いです。次の入居が早く決まりそうな立地・時期なら、空室期間を1日でも短くするために前倒ししますね。
「募集を出す=広告を載せるだけ」じゃなくて、その前の賃料査定でもう勝負は半分決まってるんですよ。
ステップ6:内見対応
問い合わせが入ったら、実際に部屋を見てもらう工程です。
ここで管理会社が直接案内する、というのは実は少なくて、基本的には現地のキーボックスや近隣の業者さんに鍵を預けて、仲介業者に直接内覧してもらう形が多いです。これは、内見のスピードを上げるためですね。お客さんが「今日見たい」と言ったときに、管理会社の都合で「明日でお願いします」とは言いたくないので。
ただ、注力したい部屋(早く決めたい部屋、グレードが高い部屋)には、モデルルームを入れて家具を配置したりすることもあります。空室のままだと部屋の魅力が伝わりにくいので、ちょっと投資して印象を変える、という工夫ですね。
で、この工程で僕が一番気にしてるのが、実は写真や図面じゃ伝わらない部分なんですよ。具体的には、においとか、空気の流れとか、足音の響き方とか。内見に来たお客さんが部屋に入った瞬間に「ん?」って違和感を持つポイントって、たいてい写真には写らないところなんですよね。だから、募集を出す前の段階で、自分が現地に行ったときに換気をちゃんとしておくとか、下水のにおいが上がってきてないかチェックするとか、そういう地味なことをやってます。
写真と間取り図で部屋の印象って8割決まると思われがちですけど、内見で「決まる・決まらない」を分けてるのは、残りの2割──写真には写らない部分なんですよ。
ステップ7:入居審査・契約
申し込みが入ったら、審査と契約手続きに入ります。
入居審査では、申込者の属性(勤務先・年収・連帯保証人や保証会社の状況など)を確認して、貸して大丈夫かどうかを判断します。最近はほとんどのケースで保証会社の審査も通すので、そこの結果も見ながら最終判断ですね。
契約書類は、賃貸借契約書、重要事項説明書、保証会社の契約書、火災保険、その他の覚書類…と、けっこうな量があります。これを過不足なく揃えて、署名・捺印をもらって、入居者・オーナー・管理会社の三者で完結させる。
書類が一枚でも抜けてると、後でトラブルになったときに対応できないので、チェックは慎重にやってます。
契約書類のチェック、いまだに紙ベースなんですよね、ウチも。今使っている管理ソフトの仕様がイマイチで…😢これ、いつか自動化したいなって思ってる工程ナンバーワンです。
ステップ8:鍵発送・引き渡し
契約が完了したら、入居開始日に合わせて鍵を入居者さんに渡します。
鍵の渡し方は、現地でのキーボックス受け取り、郵送、店頭手渡し、いろいろです。新築の物件で大量の戸数を一気にさばかないといけない時期なんかは、この鍵の管理だけでもけっこうな業務量になります。
渡す前に必ず確認してるのは、
- 契約書類が全部揃っているか
- 保証会社の契約が成立しているか
- 火災保険の手続きが完了しているか
- 初期費用の入金が確認できているか
このチェックが終わって初めて、鍵を渡せるんですよ。一個でも欠けてると、入居後に問題が起きたときに対応できないので。
「鍵を渡す」っていう最後のひと手間の前に、実は確認すべきことが山ほどあるんですよね。
ステップ9:入居前最終チェック
鍵を渡す前に、もう一度部屋の状態を最終確認します。
リフォームが本当に仕様通りに終わってるか、清掃が行き届いてるか、設備に不具合がないか、においや湿気はどうか、こういうのを目と鼻と手で確認していく作業です。
ここをしっかりやっておくと、入居後のトラブルが本当に減るんですよ。逆にここを飛ばすと、入居初日に「水の流れが悪い」「換気扇から異音がする」みたいな連絡が入って、対応に追われることになります。
地味ですけど、この最終チェックの精度は、管理会社の品質を測るバロメーターだと僕は思ってます。
入居前チェックで何を見てるかも、いつか細かく書きたいですね。排水口を懐中電灯で照らしてのぞき込んだら異物が入ってた、みたいな話もあるので。
まとめ:見えてないけど、ちゃんと動いてます
ざっと9つの工程を見てきました。
オーナーさんに届く報告は「退去あり」「リフォーム発注済み」「入居決定」くらいかもしれませんが、その裏ではこれだけのことが動いてるんです。
そして、各工程で「ちゃんとやってる管理会社」と「流してる管理会社」の差が、じわじわと積み重なっていきます。賃料査定が雑だと収益が落ちるし、立会いが雑だと敷金精算でトラブルになるし、最終チェックを飛ばすと入居後のクレームが増える。
逆に言うと、各工程をきっちり押さえてる管理会社に任せていれば、オーナーさんは安心して任せておけるってことなんですよね。
今回は全体像をざっと見せる回でした。今後、各工程について「実際の現場ではこんなことが起きてます」という深掘り記事を書いていく予定なので、気になるステップがあれば、ぜひそちらも読んでもらえたらと思います。
それでは、また。
バルでした。