突然ですが、オーナーさん。
今の管理会社に、こう聞いてみたことありますか?
「うちの物件のライバルって、どこですか?」
……聞いたことない方が、ほとんどだと思うんですよね。
でも、この一問。たった一問なんですけど、聞いてみると、その管理会社が日々どこを見て仕事をしているのかが、かなりハッキリ透けて見えるんですよ。
今日はこの「競合物件を見せてもらえますか?」という質問を、深掘りしていきますね。
この質問でわかること:賃貸市場の「市況把握力」
結論から言うと、この質問でわかるのは管理会社の市況把握力です。
賃貸市場を日常的に見ているか、見ていないか。
これって、オーナーさんにとっては死活問題なんですよ。なぜかというと、家賃設定も、リフォーム提案も、募集戦略も、ぜんぶこの「市況把握力」が土台になっているからなんです。
市場を見ていない管理会社がやっている提案って、ほぼ勘で動いているだけなんですよね。「なんとなくこの家賃かな」「とりあえず広告料上げておきますか」「家賃下げましょう」……こういう提案が続くなら、ちょっと疑った方がいいかもしれません。
即答できる管理会社の頭の中——「作戦を立てている」人たち
じゃあ、市況をちゃんと見ている管理会社の頭の中って、どうなっているのか。
僕の感覚で言うと、単に競合を把握しているだけじゃなくて、勝ち筋と負け筋を分析して、作戦に落とし込んでいるんですよ。
たとえば僕の場合、担当している物件があったら、まずこういうことを見ています。
- 競合物件の家賃が、自分の物件の上を行くか下を行くか
- 拮抗しそうな物件の直近の成約状況
- もし競り負けたとしたら、その要因は何なのか。単に向こうの方が安かったのか、それとも何か特殊なキャンペーンを打っていたのか
ここまで見て、やっと「相手はこう来るから、こちらはこう対応しましょう」という作戦が立てられるんですよね。
たとえば僕が管理しているAマンションの場合、以前はハイグレードな賃貸ブランドのマンションが主な競合でした。広さもグレード感も並び立つ物件だったんです。
そういう物件が「いくらで募集していて、直近どれくらい決まっているのか」を見ておくと、自分の担当物件がどのラインで戦えるかが見えてくるんですよ。
これを毎日やっているわけじゃないです。さすがに毎日は見てません。でも、空室が出たタイミングでは必ず「今、周辺どういう状況か」「直近の成約はどうなっているか」を確認します。これはもう、ほぼ反射神経みたいなものですね。
「SUUMOやHOME’Sをどう見るか」にもコツがある
SUUMOやHOME’Sって、オーナーさんも見たことあると思うんですけど、実は見方にコツがあるんですよ。
ポイントは、探す側の気持ちに立つこと。
自分の担当物件を「分析しよう」と思って見るんじゃなくて、その物件を探しているお客さんって、大体どういう条件で検索をかけてくるかな、というのを想定して条件を入れるんです。
そこから地図表示で周辺を見て、どういう物件が一緒に表示されるか。これが、リアルな意味での「うちの物件の競合」なんですよ。
つまり競合って、管理会社の都合で決まるんじゃなくて、お客さんの検索条件の中で決まるんですよね。だから、お客さん目線で検索できる管理会社じゃないと、そもそも本当の競合がわからないんです。
新築が出てきたときの対応で、管理会社の本気度が見えます
ここ、オーナーさんに一番知っておいてほしい部分なんですけど。
新築物件って、本当に厄介なんですよ。
なぜかというと、在庫が多いんです。新築って、一気に何十戸か募集が出るので、同じエリアに似たような条件の部屋がドサッと出てくるんですよね。
で、新築って本来、築古より家賃が高くてしかるべきなんです。新しくてキレイなんだから。
でも、値付けに失敗している新築が結構あるんですよ。条件的にはこっちより上なのに、なぜか家賃設定が安い。そうなると、どう考えても新築から決まっていくので、自分の物件まで順番が回ってこないという状態が発生します。
新築の在庫がなくなりきるまで、空室が続く。
これ、何も手を打たない管理会社に任せていると、本当に起きるんです。
市況を見てない管理会社の提案って、こういう時にほぼ二択なんですよ。
「広告料を上げましょう」か「家賃を下げましょう」か。
もちろん広告料を上げるとか、家賃を下げるとか、必要な局面はあります。でも、それしか手札がないというのは、ちょっと寂しいですよね。
本来やるべきなのは「物件に投資する」こと
じゃあ、市況をちゃんと見ている管理会社は、新築ラッシュの時にどうするか。
ちゃんと物件に投資するんですよ。
たとえば築古で設備が古ければ、エアコンを新しくする。水回りをリフォームする。そうすると、たとえ築年数では負けていても、入居者さんはちゃんと選んでくれるんですよね。
だって、築古だけど広い、築古だけど立地がいい、築古だけど設備が新しい——こういう要素って、新築の狭い部屋と比較されたときに、ちゃんと武器になるんです。
広告料を上げるのって、結局、仲介会社へのお金なんですよ。でも、物件にお金をかけると、それはオーナーさんの物件の資産価値として残るんです。
広告料は毎回かかるけど、設備投資は一度やれば数年は効く。
これを理解している管理会社かどうか。ここが、ものすごく大きな分かれ道になります。
差別化策の引き出しも、実は大事
もちろん、物件投資だけがすべてじゃありません。現場では色々な工夫もします。
たとえば家具家電付きキャンペーン。これ、実は単なる値引きみたいな差別化策じゃなくて、「転勤でカバン一つで引っ越したい」という入居者さんのニーズにしっかり応えるものなんですよ。大阪は転勤需要もそれなりにあるので、こういうニッチな層には深く刺さります。
僕が勤めている会社でも、家具家電付きはかなり積極的に取り入れていて、前身の会社の時代からかなり早い段階で導入していた施策でもあるんです。つまり、ただのトレンドじゃなくて、ちゃんと実績の裏付けがある差別化策として運用しています。
あと業界内の話でいうと、仲介会社向けに商品券をプレゼントするみたいな販促もあります。これが仲介担当者さん本人に渡るか、入居者さんに渡るかは、現場の運用次第ですね。
こういう販促自体は、別に悪いものじゃないんです。使いどころを間違えなければ、有効な一手になります。
大事なのは、こういう販促を、物件への投資と組み合わせて使えるかどうか。
物件投資という「土台」があって、そのうえで販促という「一押し」がある。この順番で運用できている管理会社は、引き出しが多いんですよね。逆に、物件を整える話は一切出てこなくて、販促の話しか出てこない管理会社は、ちょっと引き出しが少ないかもしれません。
大阪市内の新築供給、実際どうなっているか
ちなみに、僕が仕事をしている大阪市内の新築供給、実際にどうなっているかという話を少しだけ。
最近、僕が担当した大阪市某区の新築データを独自に分析してみたんですけど、直近5年ぐらいのピークは2024年で、新築が17棟、延床面積は約56,000平米ありました。2025年も約2万平米の供給があって、まだまだ増加傾向なんですよ。
レインズの成約件数も、年平均で10%ぐらい増え続けています。
これ、普通に多いです。体感として多いと思っていたら、数字でもちゃんと多かったという感じですね。
淀川区、東淀川区あたりを歩いていても、どこ行ってもクレーンとシート。大手デベロッパーの賃貸マンションのシリーズが、毎年のように建っています。
背景には、団塊世代から現役世代への代替わりとか、相続税が払えなくて土地を手放すケースとか、色々あると思います。駐車場だった土地がマンションになっているケースも多いですね。
つまり、オーナーさんの物件の周りの景色は、確実に変わっているんですよ。
5年前に設定した家賃が、今もその家賃で通用する保証はどこにもないんです。市況を見ていない管理会社に任せていると、気づいたら周りが全部新築だらけ、自分の物件だけ浮いている——という状態になりかねないんですよね。
だから、見せてもらってください
さて、ここまで読んでくださったオーナーさんに、ぜひやってほしいことがあります。
今の管理会社に「競合物件、見せてもらえますか?」と聞いてみてください。
そのときの反応で、かなりのことがわかります。
パッと画面を開いて、「これとこれが競合です」と即答してくれるなら、その管理会社は日常的に市況を見ています。さらに「この物件は今こういう条件で出ていて、直近の成約はこんな感じです」まで言えるなら、もう合格点です。
「確認して後日お伝えします」と持ち帰るなら、まあ合格ラインかなと思います。少なくとも、調べる姿勢はあるということなので。
「えっ、えーと……」と曖昧になったり、嫌がったりするなら、ちょっと心配ですね。普段からやっていないから、その場で出てこないんですよ。
オーナーさんに余計な知恵をつけられたくない、と思っている管理会社もゼロじゃないかもしれません。でも、僕の感覚で言うと、普段ちゃんと見ている管理会社は、むしろ喜んで見せてくれるはずなんです。
「他の物件はこういうリフォームをしてこんなに良くなっています」という話って、オーナーさんに対しても「うちもやってみようかな」という気持ちになってもらえる材料になるので、見せないメリットがないんですよね。
さらに一歩、「一緒に見に行けますか?」
もし時間に余裕があるなら、もう一歩踏み込んでほしいことがあります。
競合物件を、オーナーさん自身で見に行ってください。できれば管理会社の担当者と一緒に。
これ、すごく大事なんですよ。
なぜかというと、入居者目線で他の物件と自分の物件を比べるという経験を、オーナーさんがするかしないかで、管理会社からの提案の受け取り方がまったく変わってくるからなんです。
「浴室乾燥機能、うちもつけましょう」と言われても、「本当に必要?」と感じることってあると思うんですよ。でも、実際に競合物件を内見して、「あ、こっちの物件にはついてるんだ」と体感していたら、その提案が「なるほど、必要なんだな」と納得感を持って受け取れます。
僕の場合、担当しているオーナーさんとは、市場に大きな変化があったときや、近くに競合が建ったときには、情報提供して一緒に見に行くこともあります。現状と課題を共有するために、実際に足を運ぶ。これって、すごく大事だと思っているんですよね。
「一緒に見に行きませんか?」と声をかけてくれる管理会社。
あるいは、「見せてほしい」と言ったときに嫌がらない管理会社。
これも、管理会社を選ぶ一つの判断基準にしてみてください。
オーナーさん自身で調べる方法も、ちょっとだけ
ここまで読んで、「いや、そもそも今の管理会社に聞きにくい」と思ったオーナーさんもいるかもしれません。
その場合は、自分で調べてみるのも全然アリです。
SUUMOでもHOME’Sでもいいので、自分の物件が該当する条件を入れてみてください。
たとえば、エリアを絞って、間取りを絞って、築年数も自分の物件が入る範囲で設定する。そうすると、一覧に出てくるのが、今のあなたの物件のライバルです。
ここで、自分の物件より明らかに安いのに条件が良い物件があったら要注意。
逆に、自分の物件の方が条件が良いのに、家賃設定がズレているようなら、管理会社に相談してみるといい材料になりますよ。
今の大手ポータルサイトは、オーナーさんでも十分使いこなせるように作ってあるので、ぜひ一度触ってみてください。
まとめ:この一問で、管理会社の実力はかなり見えます
「うちの物件のライバルってどこですか?」
たった一問ですけど、この質問には管理会社の日々の仕事の質がすべて凝縮されています。
市況を見ている管理会社は、毎日市場を観察して、作戦を立てて、オーナーさんの物件を勝たせにいっています。
市況を見ずに物件を預かっているだけの管理会社は、何かあれば広告料を上げるか、家賃を下げるかの二択になりがちです。
どちらが、あなたの大事な物件を任せるのにふさわしいか。
答えは、もうハッキリしていますよね。
今日、時間があるときで構いません。今の管理会社に電話してみてください。
「うちの物件のライバルって、どこですか?」
この一問から、見えてくるものがあるはずですよ。
この記事は「良い管理会社を見極める10の質問」シリーズの第3回です
今回の「競合物件を見せてもらえますか?」は、管理会社を見極めるための10の質問のうちの一つです。
他の9つの質問と、それぞれの質問で何がわかるのかについては、ハブ記事にまとめてあります。まだ読んでいないオーナーさんは、そちらも合わせてどうぞ。

さらに詳しく知りたいオーナーさんへ
この記事では質問3だけを深掘りしましたが、「10の質問すべてを体系的に学びたい」「今の管理会社を点数で評価してみたい」というオーナーさんのために、有料noteを用意しています。
📖 管理会社を見極める10の質問|現役社員が本音で解説する「点数化」採点シート付き完全ガイド
こちらのnoteでは:
- 10の質問それぞれの深掘り解説
- 管理会社の回答を点数化できる採点シート
- 現役社員だから書ける業界の本音と、オーナーさんに絶対伝えておきたい判断基準
をまとめています。
「今の管理会社に不安がある」「これから管理会社を選び直したい」というオーナーさんの、意思決定の武器になる内容にしていますので、よろしければ手に取ってみてください。