空室のエアコンが盗まれる——今まで聞かなかった話が、起きはじめている

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先日、知り合いの管理会社からちょっと驚く話を聞きました。

空室に付いているエアコンが、盗まれる。

正直、僕もこれを聞いたときは「え、エアコン?」と思いました。空室のトラブルというと、せいぜい「いつの間にか誰かが勝手に部屋を使っていた」みたいな話をたまに耳にするくらいで、設備そのものが盗まれるというのは、これまでほとんど聞いたことがなかったからです。

それが、最近わりと起きているらしい。

実は「室外機の盗難」は、すでにニュースになっていた

気になって少し調べてみたら、これがなかなかの状況でした。

エアコンの室外機を狙った盗難は、ここ数年で全国的に急増しています。警察庁の統計では、室外機の盗難認知件数は2020年の255件から、2024年には3,397件へ。5年で約13倍です。日経新聞も2025年6月に「被害は5年で13倍」と報じていて、関西テレビも昨年から今年にかけて特集を組んでいました。

理由は主に銅です。室外機には換金できる金属が多く使われていて、銅相場の高騰を背景に、スクラップ業者に売れば1台でそれなりの金額になる。しかも最近の室外機は軽量化されていて、工具があれば短時間で運び出せてしまう。狙われる条件が揃ってしまっているんですね。

あまりに増えたので、2025年10月からは古物営業法の規則も改正されて、室外機や金属部品の買い取りには金額にかかわらず本人確認が義務づけられるようになりました。それくらい、社会問題になっている。

……ここまでは「屋外の室外機」の話です。今回聞いたのは、その一歩先でした。

室内機まで、空室がまとめて狙われている

今回の話で驚いたのは、盗まれているのが室外機だけじゃない、という点でした。

入居前チェックで空室に行ったら、室内のエアコンごとなくなっていた——。その場で盗難被害に気づく、というケースがあるそうです。

しかも、一室だけがピンポイントでやられる、という話ではありません。空室がまとめて狙われている。ある管理会社では、100台規模で盗まれているという話もあるそうで、これだけの規模なのにニュース沙汰になっていないのが不思議なくらいです。

手口としては、こう見られています。盗む側が物件の空室一覧を取り寄せて、案内方法をチェックする。特にオートロックの解錠番号や、玄関のダイヤルキーの番号が一覧にそのまま載っていることがある。それを片っ端から確認して、入れる空室を回ってエアコンを外していく——。

一室ずつの出来心ではなく、リスト化して効率よく回っている。かなり組織的な動きのように感じます。「入りやすさ」が、そのまま「狙いやすさ」になっているわけです。

なぜ、今そこまでエアコンなのか

室外機が銅目当てなのは分かりました。ではなぜ、室内機ごと、ここまで狙われるのか。ここからは僕の個人的な見立ても入ります。

一つは、エアコンの価格です。いわゆる「エアコン2027年問題」というのがあって、2027年4月からトップランナー制度に基づく新しい省エネ基準が始まります。

この制度、正確に言うと「基準を満たさない安価なモデルを販売禁止にする」というものではありません。メーカーが出荷する製品全体の加重平均で基準を満たせばよい、という仕組みです。ただ、その平均を達成しようとすると、安価なシンプルモデルを売るほど高効率な高額モデルをたくさん売らないと釣り合わなくなる。だからメーカーとしては安価モデルを作り続けるうまみが薄く、結果的に市場から安いモデルが減っていくと見られています。冷媒ガスの規制なども重なって、総じてエアコンの価格はこれから上がっていく方向です。

そして、これは制度の話にとどまりません。すでに安価モデルの買い占めのような動きが起きているようで、知り合いの設備業者も「安いモデルはもう手に入りにくくなってきた」と言っていました。値上がりを見越して、モノとしての価値が上がりはじめている。

もう一つは、世界的な暑さです。ここ数年、日本に限らず各地で猛暑が当たり前になってきていて、エアコンそのものの需要が世界的に高い。だとすると、盗まれたエアコンが国内で消費されるとは限らず、海外に流れているのかもしれない——これは完全に僕の想像ですが、そう考える余地はあるなと思っています。

値段が上がり、需要が高く、換金しやすい。エアコンが「狙う価値のあるモノ」に変わってきている、ということなのかもしれません。

オーナーさんに、一度確認してほしいこと

ここまで読んで、「うちの空室は大丈夫かな」と思われたオーナーさんもいると思います。

一度だけ、確認してみてください。

自分の空室が、番号さえ分かれば誰でも入れる状態になっていないか。キーボックスやオートロックの番号を、長いあいだ変えていないままになっていないか。空室情報と一緒に、鍵の情報まで見えてしまっていないか。

実際、今回話を聞いた管理会社では、この状況を受けて急遽ダイヤルの番号を変更していくことになったそうです。ただ、担当の方も「番号を変えるだけじゃなく、警戒そのものを強めていきたい」と言っていました。番号の変更は最低ラインで、それだけで安心という話でもない、ということですね。

このあたりは、本来なら管理会社が気を配っておくべき部分でもあります。逆に言えば、こういう時代の変化に対して「うちはこう対応しています」と説明できる管理会社かどうかは、任せる相手を見極める一つの材料になります。

盗まれてから気づくのでは、遅い。エアコン一台とはいえ、値上がりしている今、原状回復と入居募集のタイミングまで考えると、オーナーさんの負担は決して小さくありません。

「入りやすい空室」と「管理のゆるさ」は、たぶんセットで見られています。まずはそこから、見直してみてください。


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この記事を書いた人

不動産業界歴約15年。仲介8年→現在は賃貸管理・リーシングがメイン。古い物件をリフォームで蘇らせて賃料アップを狙うのが一番の生きがい。
管理の現場で「オーナーさん、それ知らないと損してますよ…」な場面に遭遇しすぎて、このブログを始めました。
保有資格
宅建士/二級建築士/賃貸不動産経営管理士/賃貸住宅メンテナンス主任者/消防設備点検資格者/管理業務主任者

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