【現場記録】管理人室の天井から水漏れ。初期対応で見落としてはいけないこと

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ある日の朝11時すぎ、僕の担当じゃない管理物件で水漏れが発生したという連絡が入りました。

前日に仲介会社さんから「駐輪場で水漏れが出てます」と一報があって、別の担当が現地に駆けつけたところ、駐輪場に面した扉から水が流れ出てきていて、扉の向こうの管理人室の天井からポタポタどころじゃない量の水が落ちてきている、という状況でした。

普通だったら設備業者を手配して終わり、というところなんですが、僕は車に飛び乗って現地に向かいました。今日は、水漏れの初期対応で僕が現場で何を考えていたか、何をやったかを書いてみようと思います。一棟オーナーさんにとって、水漏れの初動の質はかなり大事な話なんですよ。

現場に着いて最初に見たもの

管理人室の扉を開けたら、床がビシャビシャでした。

天井から落ちてくる水は「ポタポタ」なんて生易しいレベルじゃなくて、結構な量がずっと続けて落ちてきている状態。とりあえずモップで水を掻き出しながら排水し始めたんですが、バケツ一杯分を捨てたらすぐ二杯目が満タンになる勢いです。

「あ、これは長期戦だ」とすぐに分かりました。

天井裏にかなりの水量が溜まっているということは、水漏れの原因は「ちょっと洗濯機のホースが外れた」みたいな一時的なものじゃない。配管自体に問題が起きていて、これは時間をかけて対応しないといけないやつだ、と判断しました。

ここから僕がやったのは、ただひたすら水を捨てる作業ではありません。水漏れの初期対応には、見落としてはいけない大事なことが三つあるんです。

吸水力がかなり強いので、力を入れなくても水をどんどん吸ってくれます。レバーで絞るだけで水が切れるのも便利。ただ、ガシガシ使いすぎると先端のスポンジがちぎれちゃうので、そこだけ注意です⚠

① 水の処理より先に「原因の特定」を意識する

水漏れ対応というと、つい「水を止めること」に意識が行きがちなんですが、本当に最初にやるべきは「原因はどこか」を考えることなんです。

なぜかというと、水漏れって特定がすごく難しいんですよね。

水はいろんなところを伝って、最終的に天井のある一点から落ちてくる。だから「水が出てきている場所」と「水漏れの発生源」は全然違う場所、ということがよくあるんですよ。多くの場合は真上の部屋が原因なんですが、それも絶対じゃない。

例えば一時的に洗濯機のホースが外れて下階に水が流れた、というケースなら、その水が流れきってしまえば終わりです。でも今回みたいに、バケツ二杯がすぐに溜まるような量がずっと出続けている場合、これは配管そのものに傷がついているか、穴が開いているか、接合部が壊れているか、そういう構造的な問題が起きている可能性が高いんですね。

ここを最初に見極めておくと、「これは長期戦になる」「業者を呼ぶ判断を急がないといけない」と段取りが組めるんです。逆にここを意識しないで目の前の水ばかり追いかけていると、対応が後手後手に回るんですよ。

② 養生シートで「水の通り道」を作る

これは現場対応の知恵なんですが、天井から水が落ちてくる時って、ただバケツで受けるだけだと追いつかないんですよね。

なので、両面テープ付きの養生シートを使って、天井から外に水を逃がす「通り道」を作るんです。

水漏れの時、天井から落ちてくる水を外に逃がす「水路」を作るのに重宝します。大きめのハサミがあると現場で扱いやすいですよ。

今回の現場では、管理人室についている窓の外に直接水を流せるように、養生シートで水路を作りました。落ちてきた水がシートを伝って、窓から外へ排出される、という設計です。これをやらないと、水が室内のあちこちに広がって被害がどんどん拡大しちゃうんですよ。

ちなみに今回は途中で、天井ボードに思い切って穴を開けました。

「天井に穴開けるなんて」と思うかもしれませんが、ボードなので多少穴を開けても後で補修できますし、何より天井裏に溜まっている水を一気に抜いた方が、被害を最小限にできるんです。穴を開けて、そこから養生シートで直接窓の外に水を流せるようにしました。

こういう判断って、現場にいないとできないんですよね。電話だけで業者に指示しても、たぶん「業者さんに任せます」で終わってしまう。でもオーナーさんからしたら、自分の物件の天井にいつ穴が開いたのか、なぜ開けたのか、ちゃんと説明できる人が現場にいてほしいと思うはずなんです。

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③ 二次被害=漏電を絶対に防ぐ

ここが実は、水漏れ対応で一番怖いところなんです。

今回の現場、パイプスペースの中で床が水浸しになっていたんですが、このパイプスペースって電気系統の配線が通っている場所でもあるんですよ。

水漏れで床がビシャビシャ、その中に電気系統がある、となるとどうなるか。漏電のリスクが一気に上がるんです。

壁がふやけたり、ボードが腐ったりするのは、後から張り替えればなんとかなります。床のクッションフロアもそうです。でも漏電が起きて建物全体の電気系統に被害が広がってしまったら、これは取り返しがつかないんですよ。入居者さんの部屋の電気が使えなくなったりしたら、もう水漏れの被害どころの話じゃなくなります。

だから水漏れ対応で本当に怖いのは、実は水そのものじゃなくて、水が引き起こす二次被害なんです。

僕が現場で必死に排水していたのは、床を綺麗にするためじゃなくて、電気系統に水が回るのを少しでも遅らせるためでした。この優先順位を持っているかどうかで、初期対応のスピード感が変わるんですよ。

プロと連携してわかった原因

僕一人でずっと排水していても、これは根本解決にならないので、いつもお世話になっている設備会社さんに連絡して現場に来てもらいました。

設備会社さんが到着したのが午後二時ぐらい。そこから一緒に天井を開けて、水漏れ箇所を特定する作業に入ります。結局、十一時から一時まで僕が排水作業をして、二時から四時まで設備会社さんと一緒に作業して、合計四時間ぐらい現場に張り付いていました。

プロの見立てによると、原因はおそらく接合部のボンドの劣化でした。

配管そのものは割れていないんですが、配管同士をつないでいる接合部のボンドが、長年の経年で固形化していて、それがゴールデンウィークに大阪であった震度3の地震で動いた拍子に、パキッとヒビが入ったんじゃないか、と。

ボンドが割れているだけなので配管は無事、でも接合部からは水が漏れ続ける、というやっかいな状態だったんですね。

これ、僕一人だったら絶対に分からなかったです。設備会社さんと一緒に現場で天井を開けて、実際に漏れている箇所を見て、水の臭いや色(下水か上水かを判断する)まで確認して、初めて「これはおそらく接合部のボンドだ」という見立てが立つんですよ。

そして、原因の見立てが立ったから、翌日朝から工事の手配ができました。断水を伴う工事ですが、ここまで動ければオーナーさんへの説明も「こういう原因で、こう対応します」と具体的に話せます。

これが入居者の部屋だったら、と思うとゾッとした

今回ね、不幸中の幸いは「管理人室で起きた」ということなんですよ。

被害が建物側の共用部だけで済んだので、オーナーさんに費用負担と工事の話をすればいい。でもこれが入居者さんの部屋で起きていたら、と想像すると本当にゾッとします。

入居者さんの家財が水浸しになって賠償の話になる、引っ越しの仮住まいの手配が必要になる、保険の手続きをして、原状回復もして、ということで、対応の範囲が一気に十倍ぐらいに膨れ上がるんですよ。

一棟オーナーさんにとって、水漏れって「対応の速さ」がそのまま損失額に効いてくるトラブルなんです。

初動で原因の方向性を見立てられているか、被害拡大を物理的に止められているか、漏電などの二次被害を防げているか。この三つができているかどうかで、最終的な損害の規模が桁違いに変わります。

だからこそ、水漏れの初期対応の質って、管理会社を選ぶ時にめちゃくちゃ大事な観点だと僕は思うんですよ。

まとめ:水漏れ対応は「水の処理」だけじゃない

水漏れというと、つい「業者を呼んで水を止めてもらう」で完結する話だと思われがちなんですが、本当に大事なのはそこじゃないんです。

原因の特定を意識する、養生シートで被害拡大を防ぐ、二次被害=漏電を防ぐ。この三つの視点を持って初期対応に当たれるかどうかで、結果が大きく変わってきます。

そしてこの三つって、現場に行かないと判断できないことばかりなんですよ。電話で業者に指示するだけだと、ここまでの判断はできないんです。

水漏れそのものは予測できないんですよね。今回みたいに、ゴールデンウィークの地震で接合部のボンドが割れる、なんて事前に分かるわけがない。いつ、どこで、どんな形で起きるかは、本当に運の要素が大きいんです。

でも、起きた後の初期対応の質は選べるんですよ。

誰が現場を見て、何を優先して動くか。これは管理会社の運営方針の問題なので、オーナーさんの側でちゃんと選べる部分なんです。水漏れが起きてからでは遅いですが、起きる前に「うちの管理会社はこういう動き方をする会社だ」と把握しておくこと、これだけで損害のスケールが変わってきます。

僕としては、今日みたいな日が他の物件で起きないことを願いつつ、起きた時にはちゃんと現場で判断できる管理会社でありたいな、と思いながら、夜の事務所でこのブログを書いています。

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この記事を書いた人

不動産業界歴約15年。仲介8年→現在は賃貸管理・リーシングがメイン。古い物件をリフォームで蘇らせて賃料アップを狙うのが一番の生きがい。
管理の現場で「オーナーさん、それ知らないと損してますよ…」な場面に遭遇しすぎて、このブログを始めました。
保有資格
宅建士/二級建築士/賃貸不動産経営管理士/賃貸住宅メンテナンス主任者/消防設備点検資格者/管理業務主任者

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